この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
おんな小早川秀秋
第4章 埋められない差
 
 家の中ではいつも父が偉大で、兄は常に父を立てていました。今まで父に従い向かった戦でも、その姿勢はさして変わりませんでした。築かれた上下の関係は、変わるものではないと思っていましたが、お家の危機を前に、私はその逆転を見たのです。

 その頃の私は二十代も半ばで、小僧であった頃よりは広く物事を見られるようになっていましたから、兄へ素直に敬愛の念を抱きました。そもそも人とは誰であれ表と裏、二つの顔を持つものです。家庭での兄を全てだと思っていた私が、若く浅はかだったのです。

 その日から、私は兄を心から兄と呼べるようになりました。よくよく見てみれば、兄は戦の際常に自ら動き、表へ立ち、一家の長として背筋を伸ばしていたのです。戦に関しては、父や元春兄上があまりに優れていたため気付きにくかったのですが、兄とて一度も敵へ怖じ気づく事はありませんでした。

 兄は本家を、元春兄上は吉川家を、そして私は小早川家を。兄の足りぬところは、元春兄上と私が補い、三人揃って戦えば、この世に怖いものなどないと思いました。

 しかし、これだけ兄に対する評価が好転しても、私はまだ愚かでした。この時はまだ、兄がどこか足りぬ存在だなどと軽んじていたのですから。
 
/110ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ