この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
おんな小早川秀秋
第4章 埋められない差

中国の尼子、九州の大友、力を持つ二つの国を相手していた毛利ですが、兄は大友攻めで戦場を飛び回っていました。そのためますます家族と顔を合わせる事が少なくなっていたのですが、将軍家の仲裁により、大友家との和睦が決まりました。それにより兄は出雲まで向かい、父と合流する事になったのです。
久々に故郷の土を踏んだというのに、兄は城へは戻りませんでした。父が出雲で今も戦っている今、自分だけが自宅でのんびりはしていられないと仰ったそうです。そして大して休みもせず出雲へ向かおうと進んだ時でした。
兄は、死にました。大友を滅ぼせなくて残念だったと息巻き、父を案じ家族ともゆっくり顔を合わせられなかった兄が、突然死んでしまったのです。
原因は、未だに分かりません。悪いものに当たったのか、急な病に襲われたのか、暗殺なのか、見当もつきません。父は暗殺と決めつけ何人か家臣を処刑しましたが、彼らは後々無実が証明されました。亡くなった者には申し訳ないばかりですが、誰かに罪を被せなければ遣りきれないほど、父は悲しんでいたのでしょう。

