パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第5章 石田三成という男

　
　今日は秀吉がまるで秀俊に興味を持たなかったために救われたが、もし本当に秀俊を見極めようと近付けば、恐らくあっという間に気付かれてしまうだろう。そうなれば、あき自身はもちろん、山口を始めとした家臣団、隆景も無事ではすまない。

「石田様、お願いがあります」

「なんだ、俺は影武者如きに構う暇などない」

「秀俊様を呼び戻すにしても、すぐには敵いません。それまでの間は、私が影武者を務めます。が……私は秀俊様の人となりを、ほとんど知りません。私に、秀俊様としての心得を教えていただけないでしょうか」

　あきの申し出に、三成は眉をひそめる。あまり気をよく思っていないのは明らか、どうにか説得しようと、あきは更に言葉を重ねた。

「事情を知る頼勝様や正成様は、太閤様より命じられ、後から家臣になられたお方です。あまり、秀俊様という方の人柄は知らないようでした。すぐに私の正体を見破るほど秀俊様と親しい石田様なら、私が秀俊様として生きるために必要な知識を、持っていらっしゃるのではと」

　拳を握り熱弁するあきに、少々身じろぎした三成は首を振る。

「分かった、分かったから少し落ち着け」