この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
永遠の恋
第4章 神様……
絵里子は癌病棟へと向かい、頼朝の病室の前で止まった
絵里子は小さな声で
「此処が頼朝の病室なの
少し待ってて……」
絵里子はそう言い病室へと入って行った
三人部屋の病室だった
病室の前の名札には頼朝の名前『高村頼朝』とあった
三人部屋なのに二人しか名前がなかった
栞奈は名前をじっと見ていた
「頼朝……」
「姉さん、帰ったんじゃないの?」
「………あのね……どうしてもって言うから……」
絵里子は口ごもった
どうやって逢わせよう……
そう思うと……言葉が出て来なかった
「……え?何?どうしても?何なの?」
頼朝には意味が解ららなかった
「……あのね……本人に言うって言うからね」
「誰が?」
そう頼朝が姉に聞いた時
「私よ!」と栞奈が姿を現した
「え?栞奈………どうして……」
頼朝の頭は髪の毛が抜け落ちて……帽子を被っていた
放射線治療をすれば仕方のない事だけど……
そんな姿を栞奈には見せたくなった
でも逢いたかった
栞奈の姿を……
頼朝は愛しそうに見つめていた……
「てめぇ……大事ない事は何一つ教えずに消えやがって!」
栞奈は逢うなり頼朝を殴り倒した
バチーンと頬を叩かれて
頼朝は目から火花が散った
「………栞奈……逢うなり……これは酷くない?」
頼朝は想わず、何時もの口調で言った
この子といると本当に退屈しない
愛しさが更に募る
こんな目の前に現れたら………
離せなくなる
頼朝は栞奈に抱き着いた
逢いたかった……
本当は……………
別れたくなんかなかった