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第8章 現実は厳しく…

その人はスケッチブックを手にすると

『謝らなくても良いのよ本当の事だもの』と書いた

『話し、聞いてくれる？』

栞奈は頷いた

そして「私の話も聞いてくれる？」と問い掛けた

『うん！聞くよ』

その人は笑っていた

その人は淡々と書いた

娘の事ばかりを書いた

娘の心臓が悪い事

その心臓が限界が来ててオペしないと死んでしまう事

だけど、その人はかなり病気を抱えてて………

そんな治療費を出すのは無理な現実があった事

それで旦那の実家に頼った事

結婚を反対されてたから……旦那の実家には行けない事

そして何度も娘が死にかける容態だった事……

容態の急変を聞くたびに……祈り続けた事

オペが成功して帰ってきた娘の変化と戸惑い

そして非常な現実があった事……

死に至るまでの経緯

命を粗末にしているが……

その方法しかない事……

そして……助かった自分が………

逝くべき道を……

その人は静かに語った

その人は母であろうとしたのだろう……

道は間違っていたかも知れないが……

その人はそうする事でしか娘を守れなかった

方法はまずくても……

その人は母であろうと必死だった

そんな人に何も言う言葉なんて……なくなった