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ブルジョアの愛人
第2章 秘密の花園
互いの体温に安心しながら、二人は仲のよい親子のように寄り添い、二人だけの楽園に足を踏み入れる。
浩晃は必要最低限の家具しか置かれていない、殺風景な部屋の電気をつけた。暗闇を歩いて来た二人に白い光が降り注ぐ。
莉菜は借りてきた猫のように身体を小さくして浩晃の側に立っている。二人の為の部屋とはいえ、家賃を払っているのは浩晃である。勝手に座ったりなどしない。
「座っていいんだよ」
浩晃が優しく声を掛けると、莉菜は遠慮がちに革のソファに腰掛けた。
礼儀正しいのは良いことなのだが、少し他人行儀な感じがして浩晃はいつも寂しくなる。
恋人同士なのだから、もっと甘えたり、はしゃいだりして欲しいのだ。しかしそんな欲求は浩晃の胸に立ち込めるだけで、声となって出てゆくことはない。