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ブルジョアの愛人
第2章 秘密の花園

二人を乗せた車は住宅街を抜け、高層ビルが建ち並ぶ街へ入った。浩晃のマンションはすぐそこだ。

浩晃は、小綺麗なマンションの駐車場に車を停める。

普段はあまり自分で運転しないので暗闇の中での駐車は危なっかしいものだったが、浩晃と付き合う前までは乗用車の助手席に乗ったことがなかった莉菜は浩晃のハンドルさばきにうっとりと見入っていた。

浩晃がエンジンを止めると、二人は週末の時間を楽しむようにゆっくりとシートベルトを外し、手を繋いで浩晃の部屋に向かった。

浩晃が借りている部屋は五階である。莉菜には内緒だが、家賃は月に二十五万。

常識的な感覚なら贅沢過ぎる値段だが、浩晃にとって月に二十五万の部屋というのは恥ずかしいぐらい安い。

若すぎる恋人と逢い引きをする部屋なら、もっといいところにしたかったのだが、移動時間なども含めて、この物件が一番都合が良かったのだ。

オフィス街の近くに部屋を借りていることは一応妻にも伝えているが、仕事で使う部屋、としか言っていない。

化粧品会社の仕事で部屋を借りることなどまずないのだが、玉の輿目当ての妻にはそんなことはどうでも良かった。

妻にとって浩晃は、ただ高い給料を毎月運んでくる男でしかないのだ。
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