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ブルジョアの愛人
第2章 秘密の花園
一方、浩晃はシャワーを浴びながら、莉菜と樹里は仲が良いのだろうか、とぼんやり考えていた。
樹里の口から莉菜の話を聞いたことがなければ、莉菜の口から樹里の話を聞いたこともない。
莉菜が樹里の話をしたくないのは何となく分かるが、なぜ樹里は莉菜の話をしないのだろうか。
樹里は学校から帰って来ると、まずランドセルを放り出して妻に学校であった出来事を一通り話す、ということは、浩晃も妻から聞いていた。
浩晃が帰宅すると家族三人で食卓を囲むのだが、その時もずっと樹里は喋り続けている。
担任やクラスメイトへの愚痴がほとんどだ。はるかがああ言ったら瑠菜がああ言って、というような感じで延々と聞かされるのだが、浩晃は樹里が莉菜の名前を出した記憶がない。
仲が良くないのだろうか。だとしたら、それはそれで樹里は愚痴るのではないだろうか。
別にいいか。浩晃はお湯を止め、タオルで身体を拭き、柔らかいバスローブを羽織ってバスルームを出た。