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ブルジョアの愛人
第3章 二人の少女

じわりと湿った風が窓から吹き込む月曜の朝。枕元の目覚まし時計がけたたましい音を上げ、莉菜を安らかな眠りから現実へ引き戻した。

――目覚めなければ良かったのに。

莉菜はアラームを止め、だるそうに寝返りを打つ。平日の朝はいつもこうだ。

なぜ、目覚めてしまったのか。目覚めなければ、学校に行かなくていいのに。莉菜は学校が何より嫌いだ。

体育も嫌い。算数も嫌い。理科も嫌い。国語も嫌い。社会は結構好き。クラスメイトと先生は、大嫌い。

去年までずっと同じクラスで、仲が良かった真緒や陽平とは今年から別々のクラスになってしまった。同じクラスに仲の良い子なんていない。樹里のいる教室にそんな子がいたらどうなるのか。莉菜はここ数ヶ月で痛い程分かった。

莉菜はもう一度寝返りを打ち、大嫌い、と呟いた。
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