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ブルジョアの愛人
第3章 二人の少女
分かってるくせに――樹里のふっくらとした唇は、悪戯っぽく動いた。
背筋が凍りつくというのは、こんな感じなのだろうか。丹念にリップクリームでケアされた彼女の唇が、だるそうにしていた大塚を一瞬で混乱させた。
「先生、小林さんの脚ガン見してたじゃん。顔真っ赤だったけど、何、興奮してたの?」
上目遣いに大塚を見る幼い悪魔は、大塚の焦る様子を見て嬉しそうにクスクス笑っている。
これが小学生という生き物なのか?ひどく意地の悪い笑い方をする少女が小学生だなんて、大塚はにわかには信じられなかった。
知っているようで、知らなかったのだ。今時の小学生の残酷さ、陰湿さを。樹里の問いにたじろいでしまったのが答えだ。
黙っている代わりに、何を持ち掛けられるのか――想像するだけで冷や汗が大塚の肌を濡らすが、喉はカラカラに渇いている。