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ブルジョアの愛人
第4章 大好きな先生
真緒は愛想笑いの裏側で、心の底から笑っていた。それは黒い笑みだった。
真緒はそもそも大人というものが大嫌いだ。醜く、自分の利益だけを考え、金や権限のためなら平気で他人を傷つける。
莉菜を本気で愛する彼女にとって、大塚やその他の教師、親、大人の醜さを凝縮したような樹里やその取り巻き達は害虫でしかないのだ。何ひとつ善い行いはしない代わりに、自分の邪魔をする。
だが、今の真緒はそれらの人間がしているのと同じことをしているのだ。そして、自分の中に芽生え始めた人間の醜さを見つけ、その穢れは人間である以上取り除くことはできないものなんだということに気づき始めている。
――大塚は特に汚い男だから、貶めたっていいだろう。
言い訳をしながら、真緒はどんなに莉菜が穢れても愛し続けられる自信があるかと自分自身に問いかけた。