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ブルジョアの愛人
第4章 大好きな先生
「そうそう! 莉菜ちゃん、上手だよ!」
わざとらしいその声が耳に飛び込んでくると、真緒は反射的にそちらを振り向いた。
案の定、貼りつけたような笑顔の樹里が危なっかしく一輪車を漕ぐ莉菜の手を取っている。自分に見せつけるためだということはすぐに分かった。樹里が一瞬、横目でこちらを見たからだ。
何も知らない莉菜は、樹里と仲良くなれたと思い込んで困ったような笑顔を見せている。真緒はその表情を見て更に苛立った。樹里にはもちろん、簡単に樹里に騙される莉菜にも。
向こうがそうくるなら、こっちにも手はある。ふんと鼻を鳴らして向かった先は、大塚のもとだった。
「先生」
嫌悪感をグッと堪えて甘えた声を出すと、案の定大塚はコンマ一秒で真緒を振り向いた。気持ち悪いったらありゃしない。
「あ…どう、したの?」
大塚の頬の筋肉がみるみる緩んでいく。ロリコンではないと自ら宣言していた大塚だが、落ち着いた雰囲気を纏う真緒には少しばかり好意を抱いていたのだ。