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ブルジョアの愛人
第8章 内緒の疼き
真緒は、朝からずっと浮かない顔をしている優々が気がかりだった。朝読書の時間が始まる前に何度も2組の教室を覗きに行っては溜め息をついて戻ってくる。莉菜が学校に来ていないから心配なのだろう。
だがそれは真緒も同じだった。二人とも言葉には出さないが、帰りに莉菜の家へ寄って顔を見たいのだ。
だがクラスが違うということもあるし、何よりひとりにしてあげた方が良いのではないかと思ってしまう。
そして、傷ついた莉菜にかける言葉を授業中も必死で探しているのだが、一向に見つからない。かといっていつも通りに接しようとしたら、無理に明るく振る舞って莉菜を困らせてしまうかもしれない。
真緒はもう一年以上莉菜と付き合っているから心配も大きいのだが、莉菜とほとんど話したことがない優々も莉菜を心配するのは、やはり優々が優しいからだ。
そして、優しすぎるが故に樹里に傷つけられたこともあった。あれはもう二年も前になるが、優々はその時のことを未だに忘れられない。
樹里がどんなに卑劣かを分かっているから、優々は樹里の顔を見るだけで沸き上がる憎悪と怒りを抑えられなくなりそうなのだ。