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ブルジョアの愛人
第8章 内緒の疼き
しかし優々は真緒の様子を見て、やっぱり、と思った。
もし付き合ってなかったら、こんなうろたえ方しないもんな。優々は、もう何も聞きたくないというふうに首を横に振った。
「別に、付き合ってないよ。莉菜と三人でよく一緒にいるだけだし…何で?」
真緒は訊いてからハッとした。昼休みに陽平と話しているところを見られたのだろう。優々は陽平のことが好きで、それを見て心に波風が立った…。
「優々ちゃん、私応援するよ! 友達だもん。でもまさか優々ちゃんがねぇ…」
真緒は早合点しながら、胸が詰まるような感覚に襲われた。真緒も優々と同様、それが何なのか分からないが、陽平に対するものではないということだけはなぜかはっきりしていた。
「どういう、こと?」
優々は怪訝そうな顔で真緒を見ている。勝手に舞い上がっていた真緒は、その表情が何を尋ねているのか分からなかった。
「どういうって、優々ちゃん、陽平のこと好きなんでしょ? だから…」
「違うよ、私は佐々木くんじゃなくて…」
優々は口に手を当てた。思わず出そうになった、それに続く言葉がざわめきの理由だと自分でも今気づいた。
――真緒ちゃんのことが好きなんだよ。