この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ブルジョアの愛人
第8章 内緒の疼き
真緒達が通う小学校は閑静な住宅街に位置しているため、小学校の児童のほとんどはこの住宅街の住民だ。そんなに大きな住宅街ではないが、バスで三十分かけてくるという子もいる。
その中でも莉菜の家は、学校から徒歩二十分と割と近くに位置している。優々と真緒にとってこの二十分間は、大切なチャンスだ。
優々はまだ迷っていた。陽平との関係を訊こうか、訊かないか。できることなら訊きたいが、下世話だと思われるのは怖いし、陽平とは付き合っているとはっきり宣言されるのはもっと怖い。
だが、胸のざわめきの理由を知るためにも、勇気を出して訊こうと思った。
しかし時刻は低学年の帰宅ラッシュの三時過ぎ。こんな喧騒の中で堂々と訊いてもいいものなのか。
莉菜の家と学校のちょうど中間地点の公園を通り過ぎたとき、優々はついに心を決めた。
「真緒ちゃんって、佐々木くんと付き合ってるの?」
「えっ?」
あまりにストレートな訊き方に、真緒もうろたえてしまった。こういうことを訊くときは何か前置きをするものなのだが。