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ブルジョアの愛人
第9章 秘密はご馳走
真緒からしてみれば、まず娘の同級生に手を出す心理が分からない。ばれた時に家族に迷惑をかけることを考えていないのだろうか。自分なら耐えられない、というように真緒は首をすくめた。
「奥さんと離婚するとか、そういう話は?」
莉菜は首を振った。真緒の予想通り横に。
「だって、現実的じゃないよ。奥さんと子どもを捨てて小学生と付き合うなんて」
妻と子どもがいるのに小学生と付き合うこと自体現実的ではない。だが、莉菜も気づいているはずだ。自分が浩晃にとって都合のいい女でしかないことに。
「ねえ、莉菜。私の携帯の番号教えるから、別れを切り出したときに何かされたらすぐ電話して。いい? これ約束だよ?」
母親のような真緒に圧倒され、莉菜は考える前に頷いた。それでもまだ心配だ。もし相手が刃物でも取り出そうものなら――そこまで考えてやめた。いくら何でも、血まみれの親友の姿なんて想像したくない。