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ブルジョアの愛人
第10章 破滅の理由

飯尾は樹里の頭を両手で掴み、自分のいいように腰を振った。口の中でぬるぬると擦れるそれが、みるみる硬さを増していくのが分かる。飯尾は気持ちの悪い呻き声を上げていた。

ふと、飯尾の動きが止まった。口腔内に生温かさが広がる。射精された、と思ったが、それは口から溢れそうなぐらいに注がれていく。

アンモニア臭でそれの正体が分かった。樹里の口に入りきらなくなったものは唇から溢れ出した。

「飲めよ」

頬を膨らませた樹里を蔑むように見下す。この男に逆らったら何をされるか分からない。誰も見ていないこの部屋で、もしかしたら――急いで飲み下そうとしたが、気持ち悪さのあまり口の中のものをフローリングの床にぶちまけてしまった。

「きったねえな、全部舐めて綺麗にしとけ」

樹里の顔は涙でぐちゃぐちゃに歪んでいた。そこにはもう、クラスメイトをはべらせる"女王様"の面影はない。もう何が何だかよく分からなくなり、樹里は冷たい床に舌を這わせた。
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