この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
裸足のprincess
第1章 雪のせい

 自分の状況を思い出す。

 「だ……れのせいだと」

 「俺だね」

 迂闊だった。

 裕也が靴履いて立ってた時点で気づけよ、私。

 さっきから足が麻痺してる訳だ。

 「彼女を裸足で地面歩かせる男はいないだろ?」

 「彼女を裸足で外に連れ出す馬鹿もいないわよ……」

 「あはははっ。確かに」

 「ナニ笑って……え?」

 裕也は歩き出した。

 家から遠ざかる方向に。

 通行人がチラッと見てくる。

 カップルに指さされる。

 「裕也。ごめん。謝るから家に帰して下さい」

 「なんで謝んの」

 多分、神経が切れやすかったら、今全て切れてしまっただろう。

 あぁ、そうか。

 キレるってそこから来てるのかな。

 神経が切れる。

 「あぁあ降ろせって言ってんのよ馬鹿裕也! どこ行くのよ、こんな格好で。もう雪は味わったから、降ろしなよいい加減にさっ」

 何を言っても裕也の腕の中。

 余りに自分が弱く思える。

 「襟菜、今何時?」

 「は?」

 こ、こいつは私の話を聞いていないのか。

 呆れと怒りに沈む。

 もう、無駄だ。

 私は無言で腕時計を見せた。

 「よし、丁度良い時間だ」

 ご機嫌になる裕也に、抵抗する気が失せた。

 少し速歩きになる。

 まだ、午前中だからか、人通りはそんなに多くない。

 でも、人間は二本足で歩く生き物。

 お姫様抱っこされてるのは私だけ。

 なんでだろう。

 裕也のせいなのに。

 なんで私が消え入りたくならなきゃいけないの。

 思いっきり睨むが、見ていない。

 まるで、何かを約束しているみたいに。

 「ねぇ……裕也」

 「ん?」

 「どこ行くの」

 「行ってからのお楽しみ」

 息を弾ませ、得意気に。

 粉砂糖被ったみたいな頭しちゃってさ。

 雑踏を掻き分け、一つの小さなバーに入る。

 確か、一回だけクリスマスに二人で行った場所だ。

 こんな時間から営業しているの?

 案の定、灯りは点いていない。

 裕也に声を掛けようとした時だ。


 「マスター、お願い」

 パチン。

 一斉に明かりが点いて、目が眩む。

/11ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ