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桜色、恋色、ーこいごころー、
第1章  花びら、一枚
 
 バタンッ!!

 『ひっ!!…』

 ガチャっバタンッ!!…ドッタンバッタン!!!カンカンカンカン!!!
 数秒間の空白。
 声はピタリと止まり、耳に痛いほどの静寂が訪れた後、慌ただしい音が聞こえて来た。

 これは……とてつもなく、ヤバイ事をしてしまったのではないか。恐怖感と罪悪感に苛まれ、私は布団をかぶり丸まった。

 ピンポーン…。

 『っっ……!!!?』

 (えっ…エッ……?!)

 まさか、お隣さんから?
 
 ピンポーン、ピンポーン、ぴっ、ぴっ、ピンポーン…。

 『ひぃっーーー!』

 お隣さんまさかのDQN?!
 そりゃ私が悪かったけれども!!
 これって、出てくまで続くパターン!?

 ピンポーン……。

 死刑宣告。
 まるで〇子がテレビから出てくるような恐怖感だ。
 意を決して、そろーりベッドから出て玄関に向かう。

 そして…ガチャ、鍵をゆっくり回して開ける。

 そーッと開く、その扉の向こうにいるだろう人物。

 『……は、っはーい…?』

 息が詰まりすぎて吐きそうになる嫌な緊張感。
 ゆっくり開けたドアの先にいた人物に、恐る恐る視線を向けた。

 『………あっ、……あの……?』

 スミマセンデシタ!!!!
 こんな言い方は良くないが、謝るが勝ちだ。
 片言の日本語で思いきり謝り、ドアを閉めようとした、…が。

 『ッ!!……』

 これ何て恐怖!?
 玄関に出来た隙間に、足を入れられ阻止されてしまった。

 『へっ…?…あ、あのっ』

 「ねぇ、……熱が冷めないんだけと、どうしてくれるの?」

  (そんなの知るかっ!)

 ギィ…と小さな音をたてて開かれたドアには、イケメンなお兄さんがいた。だがしかし、人間顔が良いだけでは生きていけない(くもないかもしれないが)。

 この人、性格が悪過ぎる。
 直感…。

 「ふーん……君みたいなコ、結構好みかも」

 『あ、!!…ちょっと!』

 パタンと閉められたドア。
 オートロック式なので、外側から開けられる心配はないが、この状況は非常にまずい。

 『出て行ってください!!』

 警鐘が頭に響いて、彼の胸をグイグイ押すがびくともしない。

 パシッ。

 「捕まえた…」

 『ちょっ、…やだ、離して!!』

 顎に手を添えられて、上を向かされた。
 唇に、柔らかな感触。
 
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