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桜色、恋色、ーこいごころー、
第1章  花びら、一枚
 
 抵抗しようとすれば、彼に手首を意図も簡単に捕らわれて痛いくらい握られて、後頭部にまわされた大きな手は私の髪を少し痛いくらいに掴んだ。

 無理矢理上を向かされて、止むことのない…キス。

 『んっ……んん!!…や、!!』

 それでも、"初対面"の人間とこんな事をするのは嫌だった。

 なのに…。

 啄むキス。彼の唇が離れた瞬間に拒絶の言葉を言おうとして薄く開いた唇、しかしその瞬間を狙われていたかのように、彼は私の口に自分の舌を私の口の中へ。

 『ぁ……はぁ、んっ』

 (こんな深いの…知らないッ)

 私の口から漏れる微かな声に、彼は気を良くしたのかチュッと音をたてて器用に舌を絡めて来る。互いの唾液と吐息が混じ合い、私はいつの間にか翻弄されていた。

 苦しくなる呼吸、瞳には滲む涙。
 酸素を求める代わりに出るのは、喘ぎにも似た声。
 目眩を覚えるくらいの、深く長いキス。
 意識を、持っていかれそうになる。

 (ダメッ!!…この状況、まずい……)

 空いている手で、彼の背中を叩いた。

 『っ、……はぁ、はぁ……はぁ』

 離れた唇。
 私は肺いっぱいに空気を吸い込んだ。

 「その顔、そそるね……」

 『離せこの変態!!』

 見下ろして来る余裕の表情の彼の態度に腹がたった。
 平手打ちしてやろうと自由な手を振り上げれば、再び掴まれて私は自由を失った。

 壁に手を縫い付けられて、睨んで威嚇することしかできない。

 『やだ!!…離してっ!!』

 「やだ」

 『っ~…!!』

 耳にかかる吐息。低い声。
 全てが私に快感の波になって襲ってくる。  

 
 
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