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愛する、三人のケダモノ達。
第1章 三人のケダモノたち。
『伽耶は僕のお嫁さんになるんだから。誰も手を出さないでね。』

 七歳の爽弥君が私と二人のイトコに向かって宣言していた。
 二十歳の朝陽兄さんは失笑。
 十五歳の私と春海は、可愛いイトコの宣言を気にもせずにいた。

「…あれって、本気だったの?」

 食後に日本茶を淹れる。
 綺麗な仕草で日本茶を飲む。

「ねぇ、伽耶さん。伽耶さんの事知りたいな。」

 テーブルを挟んで対面に座っているけど、まともに顔が見れない。

「伽耶さん、付き合ってる人いる?」
「えっ、えっとー…。」

 なんだかこんな質問されて、浮かんでくるのは会社の二つ年上の先輩、南雲紘(なぐもひろ)。友達以上、恋人未満だと思ってるけど…。
 デートして、食事して、そこは友達?
 ホテルに行って、そういう事するのが恋人?

「伽耶さん、僕の前で僕以外の男の人の事かんがえないでよ。」
「なっ、そ、そんなんじゃ…。」

 顔が赤くなる。
 やだ…何に赤くなってるの?

「大人を揶揄わないで…。」

 大人の余裕を見せるも、軽い動揺は隠せない。ごまかすように食べ終わった、食器を洗い出す。

 爽弥君が席を立ち、飲み終わった空の湯呑みをこちらに持ってくる。

「で。彼氏はいるの?」

 側に立つ爽弥君を見る。
 私より背がいつの間にか高くなっている。

「いないよ。そ、爽弥君は?」

 爽弥君の顔が近い。
 長い睫毛。
 綺麗な鼻筋。
 形の良い唇。

「いない。僕は伽耶さんしか、いらない。」

 耳元にかかる息が、背中をゾクゾクさせる。

「ねぇ、伽耶さん…。」

 う、うわぁ…益々顔が近づく。
 キッチンの奥に追い詰められ、逃げ場が無い。わぁ、所謂壁ドン状態。

「ち、ちょとそれは…あっ、ほら私達イトコだし?そう言うのは、ちょと…。」

「イトコだからって、この気持ちに嘘をつく理由にはならない。」

 爽弥君の目が真剣で、戸惑う。
 百歩譲っても、相手は高校生だよ?
 八歳年下って…。
ガチャ…ドタドタドタ…。

「あーっ、喉乾いたー。冷蔵庫どこだ?冷蔵庫!!おーい、伽耶っ!!」

 なんだか、廊下が騒がしい。
 爽弥君の顔が歪む。

「…チッ…。」
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