この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ただ、あなただけに愛を
第1章 ライン
 
 後ろから歩いてきた通行人が、立ち止まる二人を追い越し通り過ぎる。背が高く頭一つ抜いたその男の髪は、思わず目を奪われるくらい鮮やかな赤だった。

 赤髪の男は横切るその時、二人を邪魔そうに睨み付ける。その横顔に、峰子は息を忘れるくらいの衝撃を覚えた。

 顔も合わせず、声すら聞かせず、峰子を払いのけた彼。その顔は峰子を、彼に出会った十二年前に戻した。

 少し細い眉毛、茶色がかった切れ長の瞳、通る鼻筋。そして右の口端にある、小さなほくろ。

(――蒼ちゃん)

 その男は、峰子が十二年の時を捧げてきた男、蒼一朗に瓜二つだった。否、出会った頃の蒼一朗よりも、若かった。峰子が知りようもない過去の蒼一朗に、思わずすれ違ったようだった。

 男は峰子を追い越した後も、変わらず真っ直ぐ道を歩いていく。その背中もまた、蒼一朗にそっくりだった。

「……峰子さん?」

「――ごめん、ユキ。あたし、用事出来た。これ、今日のお礼。また、店に行くから」

「えっ……み、峰子さん!?」

 峰子は財布の中の札を全て抜いてユキに渡すと、考えるより早く、赤髪の男に向かい駆け出していた。
 
/18ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ