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ただ、あなただけに愛を
第1章 ライン
ユキの選ぶラブホテルのベッドは、毎度寝心地がやたらいい。チェックアウトの時間が迫っても離れがたく、峰子は服を来た後もごろごろと寝転がっていた。
「あー、もう朝とか早すぎ。太陽光浴びたくないー」
「なんだったら延長しちゃいます? あ……でも延長より、せっかくの誕生日なんですから、これからデートしませんか? 僕、今日の仕事までの時間までならフリーですから、峰子さんと一緒にいたいです」
「え?」
「あ、峰子さんに予定があるなら諦めますけど……ほら、今日は日曜日でしょう? 峰子さんの仕事って特殊だから、日曜日が休みかは分からないですけど、もしよければ」
彼のために予定をわざわざ空けていた峰子に、用事など何もない。このまま家に帰れば、誰も待っていない汚い部屋に籠もるだけである。ユキの朗らかな笑顔は、峰子の心を揺らした。
「一緒に……いてくれるの? 本当に?」
「もちろん! だって僕は、峰子さんのために生きてるようなものですから」
そうは言っても、ユキはホストである。このまま一日を共に過ごせば、なし崩しに同伴出勤となる事は目に見えている。