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淫風の戦記
第4章 紫富の金
「んっ…あっ…」

感じる。抗う。
一昨日の晩から丸一日、桔耶は法眼に凌辱され尽くした。酒に入った媚薬も飲まされ、塗られた。未だに効果が残存している。

「(惜しい!この体を他人にやるのは実に惜しい!)」

法眼は剛直を打ち付けながら、すでに腹を決めていた。紫富に売る前に、もう一度己の種を桔耶の中に植え付けたい。その歪んだ淫欲は、小姓の若々しい淫欲と連動し、桔耶を攻める。

「…んっ…んっ…」

耐える桔耶ではあるが、もう限界に近付いていた。美しい顔が紅潮し、束ねていた髪は乱れ、必死に声を出さないように堪える。冷静さを装っていたいが、首が跳ね上がり、俯き、その繰り返しの速さが増してきている。

「(…もう絶対にイキたくない…)」

涙が桔耶の頬を伝う。紫富には、それが助けを求めているように見えた。

法眼も破裂寸前である。大量に中に出そうと、タンクいっぱいまで溜め込んだというところだ。

「…くっ!…んんっ!…(もうダメ…)」
「うおお…(もうすぐだ!くらえ…桔耶)」

「法眼様!!!」

紫富の声が広間を振動させた。大声を出したわけではない。しかし、裂帛の気合とともに放たれた言葉が、法眼、桔耶、周囲の人間たちを一斉に我に返した。

何が起きたか分からないような顔つきで紫富を見返す法眼。桔耶が前のめりに倒れ込んだことで溜め込んだ剛直が抜かれた。小姓二人の顔は桔耶の胸と腹の下だが、もうそれどころではない。

「(紫富を警戒しなければ殺される!)」

法眼と小姓は共通した感情を抱き、紫富を観察する。しかし、紫富は微笑みを讃えたままだ。

「法眼様、先程一品を取りに行かせた従者が戻りました」
「あ、あとにすれば良いではないか!」

法眼が遅れながらも憤りをぶつける。
しかし、それを無視して紫富が続ける。

「これなどいかがでしょう?」

今度は一尺程の縦長の木箱であった。紫富が開く。
中から出てきたのは、またもや黄金。しかし塊ではなく、龍の彫像であった。

「先ほど王家の印をお見せしましたが、あの上に付けられていた彫像と同じ龍です」

金塊は物量的に凄まじい価値があるが、龍の彫像はそれと比するほどの宝物であると法眼を直感させた。



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