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淫風の戦記
第1章 茂里水軍の逆襲
操舵手と目が合う。
彼が毎晩想像していた香羅の顔がそこにある。

「いやっ!見ないで!!くっうっぅぅ!…ぅんっんぅっんっ!!!」

視線を落とす操舵手。が、視線は愛液が滴る割れ目へと移り、それに気づいた戊辰が仕上げの攻めを開始する。

「お前も姫が落ちるところをしっかり記憶するんだな!」

突き刺された二本の指が香羅の中を掘じくり、抉る。摩擦が熱い。何かを掻き出すように動く指はついに香羅の快楽を極限まで引き上げた。

「いやっ!(おかしくなる…気持ちいい…)んっ!んっ!んんっ!ダメ!(我慢できない!)いやぁ!いっ!!(飛んじゃう!)っいやぁっ!ダメっダメっ!んっ!んんっ!…んぁぁっっんぅんんんっっっ!!!」

息ができない。痙攣する体。涙が流れ、目を見開く香羅。愛液は横たわる舵取りの口許まで流れ、嘗められている。イッてしまった。しかし、なぜか安堵感が込み上げてくる。

「(……)」

何も考えられない。

「さあ、本番ですぞ、姫」

戊辰が自らの帯を取ろうとした時…。

激しい衝突音が響く。別の船の体当たりだ。大きな揺れは戊辰含め全員を床や壁に叩きつける。

「なんだ!?」

戊辰の声より早く、黒装束の数人が甲板に飛び込んできた。黒装束が白刃を振るい、戊辰の部下を瞬く間に倒していく。

「なぜ斬られる!?」

鎧は斬れないはずだ。

黒装束の一人が戊辰を見止めると旋風のような速さで迫る。立て掛けていた剣を抜き、黒装束の刃を間一髪で弾く戊辰。

この時、もしも戊辰が香羅の奥深くに自らの肉棒を突き入れていたならば、彼の喉には刃が突き刺さっていただろう。
喜ぶべきか否か。戊辰は僅かな時間の差で命拾いした。
このことが淫風の戦記のはじまりとなることを思えば、人の運命とは神の玩具か道楽か。

黒装束の刃の切っ先は、鎧のない顔面や喉元を正確に貫く。戊辰の剣と黒装束の刃が火花を散らした時、すでに戊辰の部下は全滅していた。

「枇杷…」

香羅が呟く。
枇杷。香羅の参謀であり親友。大陸仕込みの兵法と諜報を身に付けた宇輪水軍の柱石である。

「(クソっ!しくじったか…)」

部下を皆殺しにされたと知った戊辰は後方に飛び間合いをとる。数人の黒装束が追い、囲おうと試みる。

「逃げられんぞ」

投降せよ。黒装束の言葉の意味はそれだ。

「どうかな?なあ、黒須…」
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