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淫風の戦記
第2章 幻覚薬
峰島の戦いから一ヶ月が過ぎた。

香羅は元気な姿を見せている。戦の後、すぐに桔耶が来たのも良かった。桔耶は気を利かし、二ヶ月ほど滞在すると言っている。

枇杷は斗真国、そして戊辰と黒須という二将の調査に奔走している。

わずかに宇輪水軍を騒がせたのは、香羅の旗艦の操舵手が行方知れずになったことだ。理由を知っている香羅と枇杷であるが、皆に説明するわけにもいかない。
幸い、身内のいない彼を探してくれという者もなく、数日で捜索は打ち切られ、話題にも上らなくなっていった。

彼の名は、栄太(えいた)という。年齢は定かではないが、三十路手前か。色黒で無精髭、丈は平均だが筋骨が優れている。
離島の出身で、元々は渡り船で生計を立てていた。ある日“戦舟を操る水夫を求めている”という噂を聞き、実入りを求めて宇輪水軍の一員となった。無口ではあるが、仕事は真面目で、腕は良い。一年程経って、香羅の父、先代の頭領が討たれた茂里水軍との一戦があった。当時の旗艦の操舵手も数か所に矢を受け、這う這うの体で帰港したのだ。以降、香羅が新頭領となってからは、何人かの操舵手が交代で旗艦を担当することになっていた。峰島の戦が栄太にとって二回目の旗艦の操舵であった。

香羅には栄太と会話した記憶がない。旗艦を操舵する戦の前、軍議の末席にいる栄太が熱心に聞いていたことは覚えているが、自分が命じ栄太が頷く…という船上のやり取り以外の印象はない。

香羅は少し安心していた。あの一部始終を見られ、自分の愛液が嘗められたことへの羞恥は、嫌悪感とともに彼女の心を揺さぶっていた。とはいえ、痴態をさらしたのは自分である。だから枇杷が口封じなどを言い出しては困るのだ。

「(いなくなってくれて良かった)」

少しはあのことを忘れて過ごせる。故郷の離島に戻ったのだろう。生計は苦しくても、戦から遠ざかり養生してくれれば良い。香羅はそんなことを考えていた。

……………

さて、枇杷は桔耶の話を聞いている。

「斗真の王は白砂半島の制覇を強く望んでいます」

桔耶は斗真の王と面識があり、先日の矛300本を納めたばかりだ。かつては温厚な王で、覇権に関心を示していなかったが、戊辰が将軍となってからは人が変わったように軍事に力を注ぎはじめた。

「戊辰とは何者ですか?」

狡猾で、類を見ない野心家だと桔耶は応えた。
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