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淫風の戦記
第2章 幻覚薬
二人は香羅の屋敷に入った。
久しぶりに三人だけで食事をとる。三人が共通して抱いている孤独と使命。しかし、解放されれば、例えひとときであっても彼女たちは二十歳前後の女に戻る。

「お姉さん、いらっしゃい。枇杷もお疲れ様」

香羅は桔耶を姉と呼ぶことがある。政務中は“桔耶殿”だが、三人だけであれば友であり、姉のような存在であった。

「香羅さん、よく似合っているわよ」

香羅は今、桔耶が土産に持参した大陸の伝統衣装を着ている。濃紺の絹一枚で仕上げられており、深いスリットが彼女の太腿をより美しく演出する。シンプルでも高級感のある、いわばチャイナドレスである。

「そうかしら。けれど、スースーして落ち着きません」

香羅の笑顔が弾け、それを見る枇杷も微笑む。

テーブルには、これまた桔耶が持参した珍味や酒が並ぶ。
香羅は酒が好きだし、桔耶にいたっては酒豪である。実は枇杷も好きなのだが、任務に差し支えると言い、あまり飲まない。
宴が進むと、決まって桔耶が枇杷をからかう。“あなたほどの美人はそうはいないのだからもっと女らしくしなさい”というのが大筋の趣旨で、持参した衣装を順番に枇杷に着せていく。香羅も着せ替え人形を楽しむように桔耶を手伝う。

このひとときが過ぎ去ってしまえば、三人の女はまた苛烈な運命を生きねばならない。夜が更けていく…。

「香羅さん、もう暫く私は宇輪にいますから、また誘ってくださいね」
「もちろんです。お姉さんが近くにいてくれるだけ心強いです」

桔耶には番頭が二人迎えに来ている。港の近くの定宿に戻るのだ。桔耶の奉公人は皆そこに泊まっている。

「(香羅のことも心配だけど、戊辰の企みを暴く)」

桔耶自身、戊辰の正確な企みは掴めていない。先刻、枇杷に話した内容も最近仕入れたばかりだ。斗真国の動向は貿易の生業にも関わる。桔耶は宇輪に腰を据え、近隣の離島と交易をしつつ情報を集めることにした。

桔耶が香羅の屋敷を去ると、枇杷も自邸に向かう。枇杷邸は二人の侍女がいるだけの一見質素のものだが複数地下室が迷路のように作られている。研究室、武器庫、拷問室、隠し部屋…。着ているものこそ粗末だが二人の侍女も暗器の使い手である。

体を洗った枇杷は、日が昇ったら起しに来るよう侍女に伝え、寝室に入った。
手には例の粉末が入った小さな瓶が握られている。
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