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淫徳のスゝメ
第3章 私が最も華やいだ頃のこと

* * * * * * *
大学部に進んだ私は、打って変わって真面目に講義に出ていた。
原因は、まづるさんだ。
入学式前日のオリエンテーションで、私は他校に進んだはずの彼女に会った。
偏差値を二十も落として、何故、裕福層が在学している以外は強みのないこんな学校に進んだか。私の疑問は、まづるさんの至極単純な考えに解決された。
「専攻したい学科がなかったんだ。医学や法学なんて、私には何にもならないもん。政治家のお父さんを支持してもいないし、父娘揃って偽善ごっこも愉快かも知れないけど、前からむさ苦しくてうんざりしてたの、半分男が占領している環境。姫猫さんみたく良い匂いの可愛い仔猫ちゃん達に囲まれて、私はのんびり英文学でも楽しむわ」
高校時分から不登校を続けていた私は、始業式翌日早々、講義を放棄した。有本さんの屋敷を訪い、昼間の情事に溺れていった私に水を差したのは、スマートフォンの着信音だ。
『出てあげなさい』
『友達です。学校を休んできたので、具合が悪いと市心配してくれているんですわ。……ぁっ、はぁ……ほれより、早く…………下さ……』
『まだ鳴ってるわ。気が散るったら』
『──……』
以来、私は講義をさぼらなくなった。
まづるさんが私を駆り出す根拠は、決して色消しなものではなかった。可愛い親友がどこの誰に抱かれているかも分かれないでいる間、教員の話に身が入らない。だから見える場所にいろ。この言い分は、私を十分に感動させた。
それから一ヶ月弱が立ち、ゴールデンウィークが迫っていた。
私はそれまで見下していた少女達と言葉を交わし、また、外部受験で入ってきた彼女らとも話すようになっていた。

