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淫徳のスゝメ
第1章 私が淫蕩に耽るまでのこと
私はお父様が私のために新調した、フリルやレースがたっぷりとあしらってあるシーツに例のごとくシミを広げてしまうのを躊躇いながら、またぞろ股間を濡らしていた。そうしながら脳裏を巡るのは、お母様の顔だった。
テレビドラマのキスシーンからすら顔を逸らせるようなお母様は、蓮美先生の前では臀部を平気で突き出していた。生殖器をあらゆる名称で呼び、あられもない言葉を叫び、私達家族には見せたことのないような一面を曝け出していた。
「お母様は、お父様にはあんな姿を見せなかったのね。それはお母様が、お父様を愛していたわけではなかったということなの……。だから私やきよらが産まれたのは、人間の肉体に備わる腫瘍がなした事故……。お父様もお母様も、快楽や愛で結ばれていたわけではない、詭弁家達の幻想に一役買った、可哀想な事故だったのね」
「そうとも、姫猫。だがお前が気に病むことではない。仏野家に生まれ育った以上、お前はお父様に愛される資格がある。やるべき義務もある。姫猫……。お前は社交界の花だ。お前は多くの富豪どもを跪かせ、幸福にしてやれる特別な人間だ」