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淫徳のスゝメ
第4章 私が天涯孤独になったこと
私はきよらの姉であることを守衛に名乗って、まづると共に学内へ入った。
それから私達は、何度か改築されたらしい、正門に面した中央校舎の裏手にある旧校舎の壁沿いを歩いていったすぐ先で、聖母マリアが見守る学舎(まなびや)に相応しい心踊る儀式に遭遇した。
きよらは、お兄様がちょっかいを出しただけで赤面していた乳房はおろか、どこもかしこも晒け出して喘いでいた。貧しかった胸が少女の指をうずめられるほどになっていたのは、ロープが肉を寄せて突き出させていたからか。
鼓膜に感じるだけで下腹部の奥が熱くなる、情け容赦ないバイブレーターの振動音が、少女らの群れから立ち出した時、私はきよらがいっそ羨ましくさえなった。少女達の性技の数々は徹底していた。
きよらの陰湿な本質を見極め、きよらを家畜のように罵る少女達。あの様子では、尻の穴もとっくに拓かれたあとだろう。
私達より少し離れた灌木の影に、同じく盗視に興じている男がいた。
私はまづるに妹を暴虐から救おうともしない悪い姉だと揶揄されながら、その男に声をかけた。男は、今にも地に額をこすりつけかねない剣幕で、支離滅裂な弁解をまくし立てた。
そして私は、男、美園という数学教員が哀れになって、ある許可を出してやったのだ。
「お姉様……」
お母様を思い出す、きよらの目は、泣き濡れて私を捉えながら、かつてのように救いも求めていなかった。
「久し振りね、きよら。貴女が心配で様子を見に来たの。こちら、お友達の早良まづるさんよ。随分楽しんでいるようで、安心したわ。もしかしてお邪魔だったかし──…」
「っっ……」
つと、隣にいたまづるからはっとしたような気配がした。
長い間、音沙汰のなかった知人にまみえたような眼差し。
かくも汚い妹(きよら)を捉えるには美しすぎる、彼女の双眸は、どこか懐かしげにきよらを見ていた。
「どうかした?まづる」
「うん、……その子、昔……」