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淫徳のスゝメ
第4章 私が天涯孤独になったこと
ちゅぱ……ぐちゅ……くちゅ……ずるっ…………
「あ"あ"っっ、くっ……くぁっ、はぁっ、あっ……あっ…………」
お父様の嬌声は、さしずめ獣の咆哮だ。この野生的な現象が、私の征服欲を慰める。
無知な少女だった頃、私は自分の母親と愛人の営みの意味さえ理解(わか)らなかった。
私がセックスに関して教育機関の欺瞞に支配されていた時分、お父様が初めての正しい教育者となった。
教えられ、受け身であっただけの私は、無知と同時に無力でもあった。快楽を覚えた喜びに──…否、根拠のない憤怒や鬼胎、私を生来おびやかしていた白々しい悪をぼかすだけの快楽に、ただただ跼蹐していた子供は、破瓜の苦痛にもおびやかされて、あくまで蹂躙されるだけの夜鷹だったのだ。
私の蕾を綻ばせたのは、奇しくも母親の愛人だった。
蓮美先生。
私の懦弱は淫らで傲慢なあの指に摘まれ、彼女の秘密の宝箱に仕舞われた。
「お父様……お父様ぁ、……」
私は、女のように腰を振る父親のペニスを捕まえながら、その太ももに跨った。
お父様の目は、許しを請いたがっても見えて、反面、半月前のきよらの恩師にも似通う血走ったそれにも見える。
私の指の間から、白濁の泡が沸騰していた。
赤黒い肉棒は血色を増し、私を突き動かす衝動も、こうした醜い色を強める。
「姫猫……そっ、なに…………激し、ぞ……ゔっ、ぁっ、ああっ……」
「蓮美先生にも、会ったわ」
「はぁ、はぁ……」
「きよらの学校にいたの。変わりなく美しくて……凛となさってた。私も、お父様や先生のように、素敵な大人になりたいの……」
私はお父様の茶けた乳首をつまみながら、ペニスを肉壺に沈めた。
お父様を脚と脚の間に敷いて、お父様の肉体をスプリングに打ちつける。
みじめに、淫らに、気も遣らんばかりに呻吟するお父様の嬌声は、私から亡霊の残滓を払う。
ずぶっ、ずぶぶっ、ずぶっっ…………
きしっ、きしっ、きしっ…………
お父様は、壊れかけていた。壊れかけながら、私に蹂躙されていた。
この男一人を壊しても、宇宙の空疎までは滅ばないのに。