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淫徳のスゝメ
第4章 私が天涯孤独になったこと
私は、きよらの肉体をボンレスハムよろしく纏縛していた。
腕を固定した胴体のロープは特に丹念に、お兄様の残り香の染みた二本の脚もひしと束ねて、血行を妨げている。薄い肉はロープの圧迫で盛り上がり、とめどない喘ぎがこぼれるだけあって、早くも血色を強めていた。
「ぃったい……痛いです……はぁっ、いき…………出来なく……………ほどいてぇ……」
まづるが寝台からシーツをひったくり、きよらの裸体をくるんでいった。
私は二本目のロープを拾って、白い巻き寿司と化した妹を見下ろす。
「そんなに怖がらないで。次は今ほど締めつけないわ。それより、もうすぐ大好きなお母様が来る。お別れの顔がそんなのでは、お母様も気の毒よ」
「きよらさん。あの世に天国も地獄もないの。生きている内に、最高の貴女の顔をお母様に見せておいてあげなくちゃ……」
「な……に……、おっしゃっ、てるの……?」
私達の作業が完成してまもなく、扉が乱暴に空いた。
「きよら!!!!!」
お母様の目は、私が未だかつてどんな人間にも見たことのなかったほど血走っていた。
白眼は真っ赤に充血し、眼球がぎょろりと見開いている。醜く戦慄した瞳孔が、痩せこけた頰に涙を降らせていた。
「あ……あああ……あああああああああああ!!!!!」
お母様の目先には、両手両足を切断されたきよらが転がっていた。
…………ように見えるだろう。
きよらの首から下をくるんだシーツは、赤いシミが広がっている。そして、ロープで圧迫された彼女は呼吸も薄らいでいた。