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淫徳のスゝメ
第4章 私が天涯孤独になったこと



「きよら!!嘘でしょ!!嘘よね!!」


「お……か、さ…………ま……」


 まづるはお母様を部屋に引き込むや、さしずめ恤愛の抱擁で宥めにかかった。

「まだ意識はあるわ。可哀想に……こんなに若いのにダルマにされて。かよわい奥さん、優しい貴女はきっとあとを追いたいでしょう。ただね、きよらさんは、貴女のことが大好きだって。彼女の冥土の土産が貴女の悲惨な最期だなんて、あまりに不憫だ。私が慰めて差し上げる、せめて幸福な貴女の姿を見せてあげない?」

「ひっ……おやめなさい!病院へ!あああ……きよらぁぁ……お母様を置いていかないでぇぇ……。…………姫猫!救急車を呼びなさい!!」

「っ……、こわいお母様。可哀想なのは姫猫の方だね、いつもこんな風にメイド同様に扱われているの?」

「メイド以下の扱いよ。お母様は、私をはみ出し者か何かだとしか思っていないの」


 まづるがお母様の腕を引き寄せた。慄く尾てい骨を捕まえていた彼女の片手が、臀部へ移る。

 雲鬢に覗く耳朶に息を吹きかけながら、まづるがウエストから広がるまろみを撫でるのに合わせて、お母様の薄手のロングスカートが、厚い臀部の線を強める。


「そういうことなら、心苦しいな。姫猫。貴女を足蹴にしてきたこの女を抱くなんて不本意だけど、きよらさんの弔いのため……許してね」

「ええ、その代わり、貴女をおかずにしても良くって?」


 私は、耐え難くなっていた。お母様を這うまづるの指が、私の想像という機能に変換されて、私自身に呼び水をかける。


 まづるはお母様を壁に縫いつけて、微弱な、それでいて絹を裂くような夾雑音をこぼす唇を塞いだ。彼女の指が、お母様の乳房を辱める。二人の唇と唇から、キスの音が立つ。


 私はきよらが何か口にしかける度にその口舌をつま先で封じ、パステルピンクのチュニックを脱ぎ、アイボリーのフレアスカートを床に落とし、下着だけの姿になった。
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