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淫徳のスゝメ
第4章 私が天涯孤独になったこと
「お父様……っ、なんてことを……!」
「これは……!姫猫!」
いかにも第一発見者を気取った私に、お父様が走り込んだ。
ロープを引きずって、はしゃぐ尻尾が見えるような妙齢の男は、さしずめ散歩中の犬だ。
そう、刹那の動揺を見せたお父様の目は、瞬く間に少年のようにきらめいた。
「よくやった、お前なんだろう、お父様には分かる。お前は愚かな被害者の芝居をしてお父様をからかっているけれど、まりあは常々、お父様や姫猫を虐げていた。考えの深いお前のことだ、お父様達の幸福のために、悪者を成敗してくれたんだね。ん?きよらはまだ息の根がある。しっかりやらなくてはいけないじゃないか──…んぐっ」
お兄様がお父様の首根っこを捕まえて、私から引きずり剥がした。
日頃から間抜けなお兄様の面様は、いつにも増して品位を欠いていた。お兄様は卑下た薄ら笑いでお父様を舐めずって、長年の確執に隔たれた肉親のズボンを下ろした。
「お前だろ、バカ親父。まりあちゃんを殺したのはお前だ」
「……!!何を言うっ、分かった!お前だろう!遊!くっ……そもそも何だ、この縄は!一刻も早くこれをほどけ!私はこれから姫猫とこの果報を祝う!」
「私の姫猫をおとしめないで」
「ぐっ……まづるちゃん……!」
まづるがお父様をバイブレーターで打ち殴り、彼にそれを投げつけた。
戦慄した男の足許に、彼がかつて細君と呼んだ女の愛液をまとった玩具が転がる。