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淫徳のスゝメ
第4章 私が天涯孤独になったこと
「もちろん。ただし良心的な教育者というのは、教養を施すことにおいて見返りを求めないものなんだ。例えば、姫猫が初めて快楽を得たという蓮美さんは、貴女に結合を教えてから、貴女に何か求めたの」
「蓮美先生とは、あれっきりだったわ。先日が、不本意だけど二度目」
「彼女の方が、貴女から教育料を搾取していないんだね。血縁もない他人なのに」
まづるの話は最もだ。
私に、答えはとうに出ていた。
お父様が怖かった。
十四歳という、開花してもいない危うい蕾同然だった私の肉体を、お父様は巨大で強靭な肉体(もの)を以って征服した。
私はお父様の話に感動して、私自身の身の上に相応しい贈り物の数々に酔っていた一方で、美しい肉体の内側は汚れきっていた。
女と男がまぐわうこと、それを快楽と教え込まれた私の精神は、心理を説いたお父様の教義にも矛盾していた。
「お父様を尊敬していたわ。愛していた。愛していた。けれど、どれだけ美しい宝石も、瑕疵があれば私はかなしい」
「可哀想に……姫猫。そう、快楽は自然に委ねるものと教えられながら、全く自然に逆らった強制にとりこめられていたのは、貴女に過失があったからじゃない。きよらさんが大好きなお母様をなくしたのだって、お母様がご自分で自決された所為でもないんだ。あの男が殺しただけ」
お兄様は、お父様のペニスをトランクスごとしごいていた。
怒り狂った当主の怒号は、次第に劣情を孕んだ呻吟を含んでゆく。
私は無数のセックスフレンドをよがらせているお兄様の性技に安心して、まづると身体を触り合うのに没頭してゆく。