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淫徳のスゝメ
第1章 私が淫蕩に耽るまでのこと
私の片腕が、蓮美先生の片手に捕まった。私にこれといった感慨はなかった。
「まりあが嘆いていたわ。お父様に、悪戯されているんですってね」
「お母様は、ご存知だったの……」
私は血の気も引かなかった。
私とお父様が淫らな遊びを隠蔽しているのは、自己満足に等しかった。お母様がそのことについてお父様を問い詰めていたのは何度か見かけたし、きよらは、私に直接抗議していた。
ただ、私達は、二対ニにして何の根拠もなく優位と傲り上がった二人の家族に、とりあわなかった。
「お父様は、寂しいんですの」
「寂しい?」
「蓮美先生が、お母様を横取りしたから」
「仏野さんには、そんな風に見えていたのね。愛してなどいないのに」
「え…………」
「まりあを横取りした覚えも、愛した覚えもないわ」
蓮美先生はスクリーンに投影機を向けた。
映し出されたのは、私のお母様だった。