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淫徳のスゝメ
第5章 私の暗黒時代のこと
「お帰り、律子。寝室にお酒とオードブルが用意してあるの。お風呂も姉さんに新しいのを沸かさせたわ。それとも私が良いかしら」
いつかの谷村直美だとかいう貧民とは、似ても似つかない。
忠犬よろしく配偶者を迎えに出た私に微笑む律子は、日中社会の言いなりになっているにしては、あの労働階級者特有の倦怠感を背負っていない。田舎者らしい芋臭い顔、いつも朗らかなかんばせは、私がいつもプレゼントしてやる高級な化粧品で仕上げた色もほぼ崩れていないままで、はにかみながら「姫猫」と答える。
「エッチ」
私は律子にキスをねだって、乳房を突き出す。
丸井の指では感じない。快楽のみを与えるよう命じていた彼女の指は、もはや不良なマッサージ師のそれも同然となり下がっていた。
「お母さん達、起きてる?楓は寝た?」
「皆、寝たわ。もう二時よ……。んっ、三人で、したいなら……姉さんを起こしても良くってよ……」
「バカ、何言ってるの……」
くにゅっ…………
律子は私の諧謔を、端からの冗談だとして一笑に付す。
はにかんだ笑みにも匹儔してはにかんだ指は、刹那私を咎めるように力む時、私のひときわ大きな肉叢にうずもれる。