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淫徳のスゝメ
第5章 私の暗黒時代のこと
「姫猫が誰かにそんな酷いことをされていたら、一秒でも観賞なんてしない。許さない。貴女が傷つく前に、必ず貴女を取り戻す」
「それじゃあ、SMはどう?食傷するほどの快楽や、野外での疑似暴力、単純な痛みの責め苦。律子はパートナーとは絶対的な信頼を持ちたがる人でしょう、ああいった遊戯を含んだセックスはね、信頼なしでは出来ないのよ。貴女の好きな絵にも頻繁に取り上げられている……」
それから私は律子に問うた。
自らゲテモノに傅く快楽、近親相姦に人肉食、美しい少女を血まみれにして、絶望の悲鳴を浴びる恍惚。短絡的な男を所有し、所有される女をかどわす娯楽。不特定多数の女達に股を開いて、性奴隷同然になり下がり、また、人権というものを放棄させられた人間を支配する法悦。絶対的な服従を強いられ、背けば生命も脅かされる隷従──…。
想像だけで私に麻薬をもたらすような官能は、列挙しても果てがない。仕舞いには、やはり昼間の小説のクライマックスが、私の口を突いて出ていた。
律子は、やはり私を新しいお伽話でも仕入れてきた子供をあやす具合に笑った。
「姫猫。貴女は携帯小説でも書けば良いわ。素晴らしいエンターティメント、姫猫の想像力は、私、ツボよ。でもね、今は現実の私だけを見て」
ちゅ…………
私の唇と律子のそれが、触れ合った。