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淫徳のスゝメ
第5章 私の暗黒時代のこと
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性具よりは勝手の利く女体、私は律子をそのように認識することで、日毎に募った彼女にまつわる不快を慰めるようになった。
妙諦して一ヶ月が過ぎた。
稜の占術が証すまでもなく、私の破格の命運は、私自身が自覚しているところだ。そして劇的なさだめに生きる私は、意識の行き届かない深層心理で、強力な思いをいだいていたらしい。
辺境の庶民に転身した私に、転機が訪れたのだ。
律子は、例のごとく根暗な趣味を謳歌していた。
陰険で蒙昧な田舎者の群れの中、毛色の違った彼女の趣味を初めは暇潰しにしていた私だが、このところはロレーヌやらセレスティーンやらにまで、例の拒絶反応が蠢くようになっていた。律子の趣味が充実する分、そして彼女の私生活が潤う分、私は枯渇していたのである。
海外の問題作品は、果たして無事来日を遂げて、見事に賛否両論分かれたらしい。結論だけを先に述べると、やはり国内でもインテリジェンスや評論家達の顰蹙を買った作品群は、猥褻なポルノのレッテルを張られて、企画責任者、つまり律子は告訴の対象になったのだ。