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淫徳のスゝメ
第6章 私が見た海の向こうの嘲笑のこと



「叔父さんが落胆されるわよ。まづるちゃん、次卒業でしょ。旦那さん候補達のピックアップもしてあったりして。昨年だって、あんなに楽しみにされていたのに」

「知らなーい。あんなセクハラ、訴えなかっただけ感謝してもらわなくちゃ」



 やはり米国の都心が良い。

 先進的で適度に長閑なロサンゼルス。ある洋画を観て以来、一度行ってみたかった。



 私は二週間のプランが提案してあるパンフレットを手許に残して、他の数枚をワゴンに戻した。



 イルミネーションを透かしたガラス戸に、私と唯子ちゃんの姿があった。

 私は唯子ちゃんのショートコートの袖を掴んで、パンフレットを目線に上げる。


「どう?」

「私は、どこでも良いわよ」


「私のことは、どう?」


 一点の曇りもない二人の女は、傍目にはどう映るのか。

 従姉妹か、友人か、それとも恋人──…。


 どれも違う。
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