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淫徳のスゝメ
第6章 私が見た海の向こうの嘲笑のこと



「初めまして、三井田さん。仏野姫猫と申します。お楽しみのところ、失礼しましたわ」

「初めまして。会えて光栄です。まづるが寂しがっていたわよ、私達まだここにいるから、貴女もご一緒したらどう?」



 私はお兄様達の元へ戻って、作戦の離脱を謝罪した。

 羽目を外すことはいつでも出来る。だが、まづるとは今度いつ会えるか分からない。



 まづると三井田さんのテーブルは、酒が中心の店らしからぬメニューが並んでいた。

 ポットサービスのフレーバーティーが二種類と、二段皿のアフタヌーンティーセット、サンドイッチにフルーツコンポートにフィッシュアンドチップスだ。


 まづるは私に紅茶を勧めて、三井田さんと遊戯に戻った。


「姫猫のことだもの、女の子達に夢中で食事とってないでしょ。好きなの食べて」

「ええ、有り難う……」


 こうした厚意を有り難迷惑と呼ぶのだろう。


 まづると三井田さんの唇が、軽く触れ合うものから深く結合するキスに変わる。三井田さんの馴れ馴れしい手が、まづるの乳房をもてあそぶ。

 十年近く交際している従姉妹同士は、兄妹など比べ物にならないほどに濃厚に絡み、私を不可視の呼び水に濡らした。
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