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淫徳のスゝメ
第7章 私がつい経験した蜜月のこと



「姫猫は三度目でも、私は初めて。それは、バカにしてるけど……折角の経験だもん、綺麗なお嫁さんには、最高に飾っててもらいたいんだ。私のために」

「──……」


 私は、もう一方のドレスに被せてあったカバーを下ろす。


 出てきたのは、チェリーピンクとアイボリーのロリィタ風カラードレスだ。

 ラウンドネックにはまるみのある大きなリボンとレースの小花が散りばめてあり、ファンタジックなドームを彷彿とするパフスリーブはたっぷりとギャザーがとってある。編み上げのコルセットから広がるフリルはテーマパークのプリンセスなど足許にも及ばなかろう豪華なもので、お伽話にまみえる姫君の私室を彩るカーテンを聯想するドレープがアシンメトリーに入って、やはり襟口と同じ装飾が施されている。


「姫猫……?!」

「こっちは、お願いするのに苦労したわ。こういう仕事は、本来、三ヶ月では無理だそう」

「うそ……!可愛い、これ可愛すぎる!」

「貴女の方が可愛くてよ、まづる」



 私達は、愛人になれないほどに似通っていた。

 私とまづるは、こういうところでまで同じ発想に至るらしい。
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