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淫徳のスゝメ
第1章 私が淫蕩に耽るまでのこと
翌日、私はきよらをお母様の私室に引き連れていった。
蓮美先生が屋敷を訪う、お父様が多忙の夕刻。
きよらはお母様の寝室を覗くなり、気が違わんばかりに泣いた。
私はきよらを私室に連れ戻して、殴り合いの喧嘩をした。その晩はさんざんだった。私はメイド達を一晩中手当てさせて、翌朝、全身に軟膏の匂いが染み渡っていた。週明けには腕の擦り傷一本を覗けば私は回復していたが、クラスメイトがたった一点の瑕疵の所以を問うてきた。
それからきよらは、あからさまないじめを受けることとなった。
仏野家の長女に刃向かう、生意気な女。
きよらとて私と同じ血統の令嬢のだが、私がよそで慕われるのは、仏野の名前からだけではなかった。社交的で華やかで、論をまたず前述した容姿である。それに引き換え、きよらは引っ込み思案で陰気で、綺麗事ばかりを並べる、ごく一般的に嫌われやすいおべっか使いだ。思春期の少女達であれば、どちらの言葉を信頼し、どちらを慕うか明白だ。