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淫徳のスゝメ
第7章 私がつい経験した蜜月のこと
愚民の詭弁、無知蒙昧、負け犬の遠吠えだ。
かつての私であればここで丸井に命令して、きよらの息の根を止めていた。
気にとめることではない。
ここまで強情を張れる、手のひらほど狭い世界の物事しか認められない、きよらほど哀れな人間はいない。
私はきよらを哀れんで、正しい道に導くべきだ。
他人は他人を理解出来ない。私とてまづるの全てを理解しているわけではない、だが、私にないものが彼女にはあって、彼女にはないものが私にはある。お兄様や丸井も同じだ。
だから面白味がある。
きよらは、そうした醍醐味すら知らないままに、少女の時代を終えてしまった。
お母様の愛だけを、私から根こそぎ奪って。…………
私は憐憫することも出来なくなった。
「あ…………」
「姫猫!」