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淫徳のスゝメ
第8章 私を競った愛達のこと
* * * * * * *
姫猫達が遊さんの寝室にこもったあと、私は紀子さんと連れ立って、街へ出かけた。
観光地はひと通り回った。洋服や装飾品は日本で新調することにしている。
私達の散策プランはとりわけ生産性に欠けるにせよ、行き先に意味があるのではない。
紀子さんが私を誘うのは、おそらく暇潰しだ。そして私が外へ行きたがるのは、同じ屋根の下に暮らしていながら、あまりに知悉しない彼女とコミュニケーションをとりたいだけにはとどまらない。
姫猫は、今日までにも昼間の淫らごとに私を誘った。
だが、私は相変わらず男の肉体を忌んでおり、遊さんに関しても例外ではない。それでなくても、生物学的にも細やかな思考を働かせられないと定義されている男と、姫猫という聡明で愛らしい令嬢が交尾している。今更その事実に異論はなくても、直視したいものでもなかった。
「彼のシスターコンプレックスには感服するわ。姫猫さんは、男性を攻めるのにおいても優れておいでなんですってね。遊さんに、お前にもあれくらいになって欲しいとせがまれた時には吃驚したわ。彼が性に開放的なのは知っている、だけど、挿入されるのが好きな男の人がいるなんて……」
「遊さんは、受け身が好きなわけじゃないと思う。姫猫とのセックスが好きなんだ」
「そっか、そうよね。姫猫さんとイメージプレイをした日の夜は、私スクール水着を着せたがったし……」
きっと気分が抜けなくなるのね、と、淡白な声が呟いた。
三十路を間近に控えた紀子さんは、財閥家の正妻にも、或いは大学生くらいにも見える。
高貴な匂いが漂いながらも少女の可憐さを備えた容姿は、姫猫にも通じるところがある。