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淫徳のスゝメ
第8章 私を競った愛達のこと





『貴女に彼女は理解出来ない』


 腕が踊っているようだった。

 それだけ烈しくかき乱したのか、淫らな痺れが差し響いたのか。


 私は蓮見さんの下にいた。


 姫猫に快楽を教えた指が、姫猫を救済した唇が、私をほだす。


 蓮見さんは無駄ない手つきで私の衣服を除いていった。

 やはり睦言の混じらない私達のはかなしごとに、微かな敵愾心がちらついたのは突然のことだ。


『え……?……っっ』


 ぐちゅっ…………


 結合部は、私の意思を超えた音を散らしていた。

 忌々しい、女の証でありながら、皮肉にも快楽を補翼する肉壺を、蓮見さんの指が遊ぶ。

 私は衝動を抑えては、ふっとあられもない声を上げて、不仲な人間に出されたお茶を喉に流し込む心地悪さで下半身をたわませていた。



『貴女に、姫猫は愛せないわ』


『ああっ……』


 今しがたよりつぶさな言いようだった。


 がりり……ちゅぅぅ…………


『はぁっ、はぁ……はぁ…………』



 強制的な呼び水だ。

 乳房の頂を吸引しながら、私の膣内(なか)をピストンすると同時にクリトリスをおびやかす指。蓮見さんの唇は、私の顆粒層のみならず、思考まで吸い上げてゆくようだった。


『姫猫にとって、貴女は幸福すぎるのよ』


 術にでもかかった正鵠よろしく、私はなされるがままになっていた。



 蓮見さんは手持ち無沙汰を続けながら、話を進めた。
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