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淫徳のスゝメ
第8章 私を競った愛達のこと
「有り難う。話せばキリがないほど楽しんできたわ、もっとも、災難に遭ったのは貴女の呪術が一因してもいるのではなくて」
「いいえ、姫猫。仮に呪術で個人の運命に干渉出来るなら、私は真っ先に貴女の愉快な嚮後を調えていたわ
。同時に貴女の気に入らない人間をこそ、不幸におとしめていたでしょう。今回のことで反省して。貴女は選ばれた人間よ、つまらない同情心なんて働かせたから、あんな転び方をしたの。有本陽鞠に関しては、私が愚かなことをしたわ。まさか、彼女が私に依頼した薬を貴女に使わせようと企んでいたなんて……」
「今思い出しただけでもぞっとするわ。あんな得体の知れない人口ウィルスで、多くの死人を出すなんて。私、美しい女の死体ならともかく、貧乏人と男に興味はないわ」
「姫猫が躊躇ったのは、そこだったのね。だけど、その所為で貴女は有本陽毬の信頼をなくして、故郷を追われた……。さぁ、昔の話はよしましょう。姫猫、このケーキはいかが?メイドは呼ぶ?常に女を置いておくとやりづらい仕事もあるから、普段は近所に住ませているの」
「美味しいわ、稜。見た目も綺麗ね。女は結構よ。私を接待してくれる気なら、貴女が気持ち良いことをしてよ」
まづるを交えて最後に稜と何したあの夜同様、私は真っ先に洋服に手をかけた。
天気の話でもしている調子でスイーツの感想を呟きながら、化粧直しをしているところを披露するより甚だ恍惚を浴びながら、私が裸になるのは早かった。
「寝室へ行きましょう。ここでは狭くて落ち着かないわ」
「姫猫。貴女は仔猫ちゃんらしく床を這いなさい」
まづるの指が、私の喉をくすぐった。
私はうっとりと喉を鳴らして、まづると稜の足におりふしじゃれつきながら、廊下を進む。