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淫徳のスゝメ
第8章 私を競った愛達のこと
私達の唇と唇が距離をなくした。性器と指とが繋がった。
お父様のような征服ではない、お兄様のような凶器でもない、いつかまづるの話した通り、女の指こそ女を潤す。
甘くこまやかな蹂躙は、私の性感を攻撃しながら、果てなく私に献身的だ。まづるは私の望むところを、それでいて私の虚をついて、不可視の媚薬の檻に捕らえる。
「あっ……あああっ……そこっダメ……やぁぁん!あん!……っ、く、あっ!やぁ!…………」
下半身が奈落に引きずり込まれていった。やおらな愛撫が広げていった快楽は、殺人的な痺れを私にもたらす。
私の脚と脚の間に指を上下させながら、まづるは、引きずり出した愛液を啜ったり、クリトリスをしゃぶったりしていた。指が深奥を貫いて、舌が浅瀬にこじ入る。その呼び水は、寄せては返す波のように、ふつふつと私を焦らせることもあれば、烈しく私を揺さぶった。
私は食傷に慄きながら、決して情事の終わりを請わない。
シーツを掴んで腰を乱して、ただただまづるの髪を撫で、肉叢に爪を立てて、水面に上がった金魚よろしく口を開く。