この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
淫徳のスゝメ
第8章 私を競った愛達のこと
「まづるは姫猫の都合の良い友人の顔を気取って、貴女の善良な相手になっていた。貴女のするのとなすこと肯定して、ただ貴女の信頼に計算高く縋っていた。本心なんて誰にも覗けない、貴女もまづるも、そう、たかをくくっていた。薬の鍵は私が持っている。もし姫猫が貴女に構っている暇もなくなるほど、遊び歩くようになったら……こっそり使ってごらんなさい、私はそう言ってまづるに薬を売りつけた。だけど、つくづく自意識過剰な女だわ、私に鍵を投げつけて、帰ったわ」
「…………。何故……」
「姫猫が欲しいから」
「──……」
「七年前、初めて貴女と懇ろな時間を過ごしてから。いいえ、貴女がウチのクラスに入ってから」
「…………」
「他の何を排除しても、どんな手を使ってでも、私のものにしたかった」
「…………」
私は稜の言葉を信じた。
稜の忠告を蔑ろにしたばかりに痛手を負って、それでも尚、彼女は私を見捨てなかった。
私は今度こそ従った。
稜は、彼女の欲望だけを根拠にして、私に親友を屠らせたのだ。
同じ精神を語り合った。私の肉体が満たされるに不可欠だった。私が所有するのでもなく、されるのでもなかった、ただただ対等だった女を補食させた。
「なんて自分勝手なの……」
「言ったはずよ、姫猫は私を処刑したくなるかも知れないと」
「…………」
処刑どころでは済まされない。
稜は、昔からこうだった。私の怖れることをして、私に未知のショックをもたらす。
昨夜、私は大きな破瓜を経験した。
幼かった頃、私が肉体的な破瓜を経て快楽の正味を得た時も、稜は厳しく、優しかった。視聴覚室でセックスしながら私は泣いた。稜ほど優しい愛撫を知らなかった。脚を開きながら、あんなにも大切にされることを知らなかった。