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淫徳のスゝメ
第9章 *最終章*私が淫蕩に耽った末のこと







 きよらは、断固としてぼろを出さない。



 私は苛立っていた。


 このパーティーは、私が日本に戻って最初の誕生日を迎えた記念でもあって、お兄様が企画した。


 きよらに報復するための宴でこそなきにせよ、私は確かめたかった。



 二年前、私はきよらのおどろおどろしい偏見に気絶した。仏野姫猫という人物として、あれはあるまじき失態だった。



 きよらの主張は一理ある。

 私とまづるの間に愛はなかった。友情さえ、幻想だった。


 あの日、この詭弁家の言い分に耳を傾けていれば、私はあれだけの絶望を味わわなくて済んだろうか。


 もっとも、きよらの狭隘な心魂は、常に多数決で善悪を分ける。
 道徳者が彼女を慈しめば、彼女はそれらを尊ぶし、彼女の周囲にヘテロセクシャルが多ければ、彼女はそれを肯定する。



 私は私の過失を認めた。

 きよらは蒙昧を貫く代わりに、私が私に向き合う羽翼になるべきなのだ。



「辛気臭ぇ。姫猫、こいつ剥こうぜ。ちょっとはマシに育ってるし、オレもうビンビン」

 お兄様が、きよらのブラウスの丘陵を襲った。

 白いブラウスは、私より二回りほど小さな胸を完全に防備している。お兄様の指に歪められて、辛うじてそこに乳房があるのだと判別出来る程度である。


「何するのです!やめなさい!」

「何つぅ口、利いてんだ。何をやめろって?」

「あっ……ん!あんっ、ああん!」

「おっ、良い鳴き声になったじゃねぇか。きよら、お前、昔はそんな声しなかったなぁ。そんなエロ顔しなかったなぁ。よがってんじゃねぇかぁ?淫乱」


 むぎゅぅぅぅ…………


「ぐっ、ふ……んんぅ!はぁんっ……」


「よし、決めた」


 お兄様は左手できよらの頬を掴んで、相変わらず右手でその乳房をいたぶっていた。そうしながら、何やら閃いた口調になって、私達を見回した。
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